学長・理事長からのご挨拶

 

 甲南大学学長 中井伊都子


 

 いつも学生の学びと活動をさまざまな形で支えていただき、ありがとうございます。
 1951年に文理学部としてスタートした甲南大学は、阪神淡路大震災などの幾多の困難を乗り越え、8学部14学科4研究科を擁する総合大学として、2021年度に創立70周年を迎えることができました。 甲南大学を深く愛し理解してくださる父母の会のみなさま方の強力なお力添えと叱咤激励に心より感謝申し上げます。
 この間、大学に求められる社会的役割は大きく変容してきました。当初の文理学部は、6年後には文学部と理学部に分かれ、それぞれの教育・研究に邁進してきました。 いま、デジタル化やグローバル化の進展、環境への配慮など社会の変化によって、文系・理系といった枠組みに収まらない学問分野が登場し、時代はまた文理融合を求めています。 本学でもこれに対応して基礎共通科目としてAI・データサイエンス入門を全学展開し、さらに文系・理系の知識を補完し合い高め合えるプロジェクトを実施してまいります。
 またかつて学問の府と言われた大学は、今では産業界や行政と共働して、SDGs(持続可能な開発目標)などの社会課題を解決する知恵と知識を持った人材を育成することによって、社会に貢献することを強く求められています。 本学は、創設者平生釟三郎の「共働互助」の教えを現代的に展開するSDGsの達成に資するために、教育・研究・社会貢献活動を通じてサスティナブル人材を育成することによって、地球上の「誰一人取り残さない」持続可能で多様性あふれる社会の実現に貢献したいと考えています。 そのために2022年度から社会連携機構を立ち上げ、地域・社会とのつながりを強化し、教育としての課題への挑戦をより強力に推し進めてまいります。
 一方で、時代の要請がどのように変化しても決して揺らぐことがないのが「人物教育率先」の建学の理念です。学ぶことを通じて、知識だけを身につけるのではなく、「徳・体・知」のバランスの取れた人物を育てることこそが、甲南大学の不変の使命です。 専門教育・全学共通教育・正課外教育からなる「人物教育のフレームワーク」を充実するための不断の努力を重ねながら、古希を超えて歩み続ける甲南大学をこれからもご支援いただけますようお願い申し上げます。

 

 学校法人甲南学園理事長 長坂悦敬


 

 日頃より大学運営に関し、何かとご支援ならびにご協力を賜り、誠にありがとうございます。父母の会より、甲南大学、学生が多くの支えをいただいておりますこと、心から感謝しております。
 甲南学園創設者の平生釟三郎は、32年にわたり日記をほぼ毎日書き綴りました。その平生日記に、1918年から約3年間にわたりスペイン風邪が大流行し、日本でも約40万人の方がなくなられたことが記載されています。 スペイン風邪から100年経過し、2020年からコロナ禍は世界中に大きな影響を与えています。「歴史は繰り返す」という言葉がありますが、平生釟三郎は歴史から学び「常ニ備へヨ」という言葉を残しました。 予期せず起きるトラブルに備え、日頃から生きていくための知恵や技術、倫理観を身に付けておくことが大切との教えです。
 また、平生釟三郎は、人生のモットーとして「正志く 強く 朗らかに」を掲げました。 たとえ逆境にあるときでも、正義感を持ち、強い意志で行動し、明るく愉快に過ごせば、毎日が楽しくうまくいくものであるというこの教えは、甲南学園の学生、生徒、教職員の行動規範の支柱になっています。 加えて、平生は「共働互助」を進めました。これは、社会では立場が違ってもいっしょに働き助け合わなくてはいけない、そのためにはお互いを尊重し力を合わせて生きていくことが理想の社会をつくることにつながるという教えであり、学園づくりの土台となる考え方です。
 「常ニ備ヘヨ」、「正志く 強く 朗らかに」、「共働互助」と平生釟三郎の残した言葉を連ねると「平生フィロソフィー」(平生の人生全体を貫く基本的な考え方)がみえてきます。
 甲南学園は、常に変わらず、”人格の修養と健康の増進を重んじ、個性を尊重して各人の天賦の才能を伸張させ、「大局ノ打算ヲ誤ラザル」「志厚キ」人物を育成し、「正志く 強く 朗らかに」人類社会に貢献する”という建学の精神を実現すべく、 正直、誠意、公平は言うまでもなく「熱血」とまで表現する「知力、胆力、勇気」そして「忍耐」「共働互助」の精神を有した人物を育てるために、「甲南学園中期計画(2020~2025)」を立案、教職員一同懸命に努力を続けています。父母の会の皆様からも様々にお気づきの点、ご意見をいただければ幸いです。
 父母の会のますますのご発展を心より祈念し、変わらぬご支援をお願い申し上げます。